問いを変えることで、見えてくるもの

PRODUCT: electric vehicle
ROLE: user experience strategist
TYPE: generative research | product strategy
METHODS: quantitative survey | user interview | qualitative analysis

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English: Title slide on a red background: “User research and product strategy: increasing EV adoption for Honda R&D Americas (99P Labs).” It lists my primary roles (plan and lead primary research, conduct secondary research with teammates, lead synthesis into actionable product strategy) and the six-person team: Yu-Jan Chang, Chanson Kuo, Julia Mitzinneck, Katie Shirley, Narjis Zehra and Konomi Nakajima.
日本語:赤い背景のタイトルスライド。「ユーザーリサーチとプロダクト戦略:Honda R&D Americas(99P Labs)のEV普及に向けて」。左下に自分の主な役割(一次調査の計画とリード、チームと進める二次調査、調査結果をプロダクト戦略にまとめる統合のリード)、右下に6人のチームメンバー(Yu-Jan Chang、Chanson Kuo、Julia Mitzinneck、Katie Shirley、Narjis Zehra、中島このみ)が書かれている。

ここでは、結論(アイデア)そのものよりも、そこに至るまでに 問いを整え、チームが判断できる形にしていくプロセス に焦点を当ててます。

EV(電気自動車)普及の文脈では「充電インフラが足りない」とよく語られます。ですが本プロジェクトで扱ったのは、その事実を「課題」として固定する前に、それが ユーザーにどんな負担として受け止められ、どこで意思決定が止まるのか を読み解くことでした。

本編では、ユーザー調査から見えてきたことを先に示し、その後で、ユーザーの声をどう判断材料に変換したかというプロセスを辿ります。

補足:本稿の前提について
本記事で扱う内容は、米国市場の生活様式・価値観・住環境を前提としています。他国の市場にそのまま適用できるものではありませんが、認識の構造に注目するアプローチ自体は、文脈が異なる場でも応用できると考えています。

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English: Slide with three cards. Challenge: how might we increase EV adoption in the U.S.? Reframed problem: how might we help communities and EV drivers who cannot afford or access a home charger to better reach charging stations nearby? Key insight: people committed to EVs’ values tolerate inconvenience, but lack of home charging makes it too high, and community plus slightly lower inconvenience can push non-EV drivers to adopt. Outcome: a product strategy of 6 requirements and 4 recommendations.
日本語:「課題」「重要な発見」「成果」の3枚のカード。課題は「米国でEVの普及を進めるには」で、それを「自宅に充電器を置けない、または置く余裕のない人たちが、身近な充電ステーションを使いやすくするには」と問い直している。重要な発見は、EVの価値に共感する人は多少の不便を受け入れるが、自宅で充電できないとその不便が大きすぎること、そしてコミュニティの力と不便さの軽減が一歩を後押しすること。成果は、6つの要件と4つの推奨からなるプロダクト戦略。

EV普及をめぐる議論の多くは、「充電インフラが足りない」という課題認識から始まります。

それは事実として正しい。設備が足りなければ不便です。コストも高い。自宅に充電設備を持てない人も多い。
けれど、こうした「正しい課題認識」だけでは、説明しきれないことがありました。

当時、私たちは、どの層が・どの場面で・なぜ踏み切れないのか、まだ分かっていませんでした。そこで対象を決め打ちせず、EVに関心がある層から所有者まで幅広く 当たりながら、行動が止まる瞬間と、その背後にある前提や判断基準を探ることにしました。

ここで採ったのが、ジェネラティブ・リサーチ*(探索型リサーチ)です。あらかじめ「答え」を決めず、「充電インフラが足りない」という課題設定を一度保留し、もう少し広い視野で「何が起きているのか」を見つめる。そうすることで、見えていなかった構造が浮かび上がってくる可能性があります。

私たちは、課題を前提として固定せず、その課題がどう認識されているか から探索を始めることにしました。

何が見つかるかは、わかりませんでした。
でも、それこそがこのアプローチの本質であり、面白さなのです。

* 探索段階で「何を問うべきか」を見つけるための調査。解決策を検証する前に、解決すべき課題そのものを探索する。「正しいものをつくる」ための段階であり、「ものを正しくつくる」段階(評価型リサーチ)とは異なる。(i.e., making the right thing vs making things right)

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English: Slide titled “Key user insights” with two findings. First: people committed to environmental causes are willing to endure some inconvenience and routine changes that come with EV ownership. Second: social and geographic communities can ease perceived barriers to EV ownership and influence adoption. Each has a supporting paragraph from the primary and secondary research.
日本語:「ユーザーインサイト」のスライド。1つ目は、環境への思いが強い人は、EV所有に伴う手間や生活の変化をある程度受け入れるということ。2つ目は、友人や近所など、社会的・地理的なコミュニティが、EVへの不安を和らげ、乗り換えに影響するということ。それぞれに、調査にもとづく説明が付いている。

ヒアリングを重ねる中で、私たちが予想していなかったことが見えてきました。

まず見えてきたのは、「負担の捉え方」の境目でした。

すでにEVを所有している人たち――とくに環境意識が高い層――は、EVに伴う手間を「避けるべき負担」というより、価値ある選択に付随する現実的なコスト として引き受けていました。時間がかかることも、計画が必要なことも、わかった上で折り合いを付けている。

正直、これは驚きでした。

私たちは、「何が不便なのか」を明らかにしようとしていました。けれど、実際に見えてきたのは「不便さを引き受けている」という事実でした。一方で、同じように環境への価値を重視していても、まだ所有に至っていない層では、大体の手間は引き受けられるけれど、「自宅で」充電できないことが「価値の実現を妨げる障壁」となっており、意思決定が止まっていました。

これは、振り返ってみれば納得できる構造でした。環境問題を重視する人ほど、環境のための手間を引き受ける。けれども、その手間が価値の実現そのものを妨げるようになれば、引き受けられなくなる。

でも、調査を始めた時点では、この構造は見えていませんでした。

重要だったのは、障壁(充電の不便さ)を「ゼロにする」ことではなく、どこまでなら負担として許容され、どこから先で意思決定が折れるのか という境界線を捉えることでした。

そこから見えてきたのは、コミュニティの力を借りて負担を少しでも下げられれば、意思決定の境界線をまたげる可能性がある という筋でした。

実際、一部のユーザーは、友人・家族・近隣住民がEVを所有し、充電環境が身近にある状況では、充電の不便さをさほど大きな問題として捉えていませんでした。社会的なつながりと地理的なコミュニティが、認識される障壁を和らげていたのです。
この発見が、後の方向性を決めることになりました。

では、この示唆をどう事業機会として扱い、どう検証していったのか。次の節で、その道筋を辿ります。

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English: Slide titled “Key business insights.” There are market gaps for charging solutions that offer: shared ownership with a high sense of community; high accessibility with a high sense of community; and a widespread network with private ownership. A paragraph explains these come from the value opportunity and competitor analyses, and a footnote defines “charging solution.”
日本語:「ビジネスインサイト」のスライド。充電ソリューションの市場には、「コミュニティ感覚のある共有所有」「コミュニティ感覚のある高いアクセス性(拠点あたりの充電器の多さ)」「個人所有を前提にした広域ネットワーク」の3つの空白がある。価値ギャップ分析と競合分析から見えてきたことで、脚注に「充電ソリューション」の定義が添えられている。

ユーザー側の「負担の許容(どこまでなら引き受けられるか)」が見えた時点で、事業として問うべき対象は「充電器を何台増やすか」だけではなくなりました。

米国市場では住環境の差が大きく、自宅充電の可否が体験を決定づけます。その結果、同じ「充電課題」でも、人によって負担の重さが大きく変わる。

また、給油体験(短時間で完了する補給)を基準にすると、充電は時間の幅や見通しの立てにくさが目立ち、心理的な負担として増幅されやすい。だからこそ、インフラ整備に加えて、負担の感じ方そのものを調整できる余地 が、市場機会として立ち上がると考えました。

そこから見えてきた方向性は、充電を「増やす」だけではなく、既存の生活環境や人と人との関係性を活かして負担を分散する という筋でした。

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English: Slide titled “Product opportunities” with three cards, each with an icon. Neighborhood EV charging co-op: guides and a platform for neighbors to run a closed group of shared chargers. Sharing private EV chargers: a platform for drivers to rent out home chargers to neighbors. Shared EV experience in a neighborhood: a shared space where residents co-own and co-use EVs and chargers.
日本語:「プロダクトの機会」のスライド。アイコン付きの3枚のカードで、「近隣のEV充電コープ」(近所で共有充電器のグループをつくり、運営する)、「個人のEV充電器のシェア」(自宅の充電器を近所の人に貸し出す)、「近所でのEV共有」(住民でEVと充電器を共同で所有し、使う)の3案を紹介している。
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English: Flow diagram titled “Research methods.” Domain research leads to trend analysis, then to three primary research methods (user interviews, stakeholder interviews, field observation), then value analysis, competitor analysis and finally product strategy. An arrow loops from value analysis back to user interviews. A legend marks primary research in red, secondary research in white and synthesis in dark gray.
日本語:リサーチの進め方を示すフロー図。ドメインリサーチ、トレンド分析のあと、一次調査(ユーザーインタビュー、ステークホルダーへのインタビュー、現場観察)を行い、価値ギャップ分析、競合分析を経てプロダクト戦略にたどり着く。価値ギャップ分析からユーザーインタビューへ戻る矢印があり、行き来しながら進めたことがわかる。赤が一次調査、白が二次調査、濃いグレーが統合を表す。

では、どのように進めたのか。

本プロジェクトは、探索型の調査を核にしたイノベーション・プロセス** の前半にあたります。段階的に調査を進め、断片的な声をチームが判断に使える形に整えるための流れです。

この順番で進める意図はシンプルです。

市場の前提を整理し(トレンド分析)、個別の声を丁寧に聞き(ヒアリング)、判断に使える形に整える(価値の整理・競合分析)。

そうすることで、発話をそのまま「好み・感想」で終わらせず、生活文脈に置き直して、チームが意思決定に使える材料へ整えやすくなります。

** デザイン思考(Design Thinking)や人間中心設計(Human-Centered Design, HCD)として知られる問題解決の枠組み。探索→仮説化→検証→具体化の段階を経るプロセスで、製品開発から事業戦略まで多様な領域で活用されている手法。

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English: Slide “Research methods spotlight: trend analysis.” Six overlapping circles summarize political, economic, social, technological, legal and environmental factors affecting EV adoption, for example: environmental policy is accelerating adoption globally but the U.S. is behind; the U.S. EV market grows fastest in affluent urban areas. Text on the left says the trends were used to reframe the initial challenge into a more focused problem.
日本語:トレンド分析のスライド。政治・経済・社会・技術・法律・環境の6つの観点を、重なり合う6つの円にまとめている。たとえば、環境政策が世界でEV普及を後押ししているが米国は遅れていること、米国では都市部の富裕層から市場が伸びていること。左の文章では、この分析をふまえて、最初の課題をより絞った問いに言い換えたことを説明している。

最初に取り組んだのは、トレンド分析でした。政治・経済・社会・技術・環境といった外部要因を整理し、米国市場における「当たり前」を言語化します。

ここでの目的は、情報を並べることではなく、次に誰に何を確かめるべきか を決めることでした。

たとえば、

といった前提が見えてきました。

この整理から、次のステップでは「充電器が足りない」一般論ではなく、住環境や移動パターンの違いによって、負担の感じ方がどこで変わるのか を確かめる必要があると判断しました。

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English: Slide “Research methods spotlight: interviews.” A survey sent to two online communities gathered 36 respondents and screened interview candidates. Two cards summarize the interviews: 20 drivers (7 interested in EVs, 13 EV owners, aged 20s to 60s, mostly urban to suburban on the west and east coasts) and 7 experts (a charging station director, four electricians, a scholar of energy and food co-ops, and a co-op coordinator).
日本語:ヒアリングのスライド。2つのオンラインコミュニティへのアンケートで36人の回答を得て、インタビューの候補者も選んだ。2枚のカードに内訳があり、ドライバー20人(EVに関心がある人7人、所有者13人、20〜60代、主に東西海岸の都市から郊外)と、専門家7人(充電ステーションの責任者1人、電気技師4人、エネルギーと食のコープを研究する学者1人、コープのコーディネーター1人)。

トレンド分析で市場の前提を整理したことで、「誰に、何を聞くべきか」の方向性が見えてきました。

私たちは、EVドライバーに加えて、EVに関心はあるものの導入には慎重な人たちにもインタビューを実施しました。さらに、充電の設置や運用に関わる専門家にも話を聞き、ユーザー側の認識と供給側の現実が噛み合っているかを確認しました。

探索型リサーチのヒアリングは、完全に白紙で臨むのではなく、仮説を持ち込み、検証し、必要なら更新する ための場です。仮説が崩れたときは、その崩れ方を手がかりに、次に確かめるべき問いを絞っていきます。

そのために、「何が不便ですか?」という直接的な問いではなく、行動の背景にある前提や期待を引き出す、余白のある問い を使いました。***

たとえば、「EVについてどう思いますか?」のような評価を求める問いではなく、「最後に遠出した場面を振り返ってもらう」ことで、計画の立て方や不安の出どころ、当たり前として置かれている前提が見えてきます。

そして、ここで見えてきたのが、先ほど触れた「負担を引き受ける人たち」という、予想外の構造でした。

*** この問いかけの手法は、文化人類学のエスノグラフィーで確立された技法と、行動科学の理論を組み合わせたものです。エスノグラフィーの技法は、余白のある問いかけでユーザーの認識を描き出すことを可能にします。行動科学の理論は、そこに現れた意図・動機・価値観を解釈する枠組みを与えます。私にとって重要なのは、表明された意見そのものではなく、その意見に至った思考のパターン(メンタルモデル)です。これを捉えることで、ユーザーの行動や感情をある程度予測できると思っています。

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English: Slide “Research methods spotlight: value opportunity analysis.” The team evaluated 23 values in seven categories and compared the values important to the key stakeholder with those current solutions offer. A diagram shows two circles, “Values important to our key stakeholder” and “Values that current solutions offer,” with a dashed arrow labeled “Identifying this gap” pointing between them.
日本語:価値ギャップ分析(Value Opportunity Analysis)のスライド。7つのカテゴリーにわたる23の価値を、主要なステークホルダーにとっての重要度と、既存のソリューションが満たしている度合いで比べた。図は「主要ステークホルダーにとって重要な価値」と「既存のソリューションが提供する価値」の2つの円で、その間のズレを「このギャップを見つける」という点線の矢印で示している。

ヒアリングから得られた示唆は、まだ断片的でした。

「充電が不便」「時間がかかる」「自宅にない」――これらはすべて事実です。ですが、このままだと「要望リスト」として扱われてしまい、意思決定の材料にはなりにくい。

そこで用いたのが、価値ギャップ分析†(Value Opportunity Analysis) という手法です。

この手法は、ユーザーの声を「欲しい機能」ではなく、その背後にある判断基準(価値)として整理 し、どこにズレ(満たされていない価値)が残っているかを構造として扱えるようにします。

†Value Opportunity Analysis (VOA)は、ユーザーにとって重要な価値(独立性、快適さ、信頼性など)を特定し、既存の製品やサービスがどの価値を満たしているか・満たしていないかを評価する手法です。日本語では「価値機会分析」と訳すこともできますが、本稿では「機会」よりも「ギャップ(満たされていない領域)」に焦点を当てる意図を明確にするため、価値ギャップ分析と呼んでいます。具体的には、23の価値を感情・人間工学・コアテクノロジーといった7つのカテゴリーに分けて評価します。

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English: Slide “Research methods spotlight: competitor analysis.” The team evaluated 15 existing charging solutions and mapped them on three two-by-two matrices based on the value opportunity analysis. On the right, three small matrices have one area circled in red each, marking opportunity gaps. The three gaps are listed on the left.
日本語:競合分析のスライド。米国の充電ソリューション15件を、価値ギャップ分析で決めた指標をもとに、3つの2×2マトリクスに配置している。右の3つの図では、それぞれ空白になっている領域が赤い円で囲まれている。左には、見つかった3つの機会が箇条書きで書かれている。

価値ギャップ分析で整理した論点が、実際の市場機会として成立するかを確かめるため、既存の選択肢(ソリューション)を整理しました。

米国内で展開されている充電ソリューションを、価値ギャップ分析で重視した指標と照らし合わせ、どの価値がどこまで満たされているのかを比較します。

その結果、既存のソリューションが応えきれていない3つの領域が見えてきました。

  1. コミュニティ感覚を伴う共有所有構造
  2. コミュニティ感覚を伴う高いアクセシビリティ(場所あたりの充電器密度)
  3. プライベート所有を前提にした広域ネットワーク


ここで、ようやく「どの方向に進むべきか」の輪郭が見えてきました。

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English: Slide “Research methods spotlight: product strategy.” Research results were translated into 6 key requirements (what the product must do, such as making charging feel hassle-free, reducing fear of lacking chargers, and fostering belonging to the local community) and 4 recommendations (what it should do), then into hundreds of product ideas and finally the top three product opportunities.
日本語:プロダクト戦略のスライド。調査結果から、「プロダクトが必ず満たすべき6つの要件」(充電を普段の生活に自然に組み込む、充電できないという不安を減らす、地域コミュニティへの帰属意識を育てる、など)と、「満たすのが望ましい4つの推奨」を導いた。そこから数百のアイデアを出し、最終的に3つのプロダクトの機会に絞り込んだ。

いくつもの案を出し合い、要件を検討し、コンセプトを簡易的に検証しながら、私たちは3つの方向性候補を絞り込みました:

1. 近隣での共同運営
隣人同士が充電器のネットワークを立ち上げ、クローズドなグループとして運営・維持する。そのためのガイドとプラットフォームを提供する。

2. 自宅充電環境のシェアリング
自宅に充電設備を持つ人が、近隣に住む人に有料で貸し出せるようにする。充電環境を「持つ人」と「必要な人」をつなぐプラットフォームを提供する。

3. 近隣での共同所有・共同利用
住民が電気自動車と充電器を共同で所有・利用できる共有スペースを提供する。

検討を重ねた結果、私たちが最終的に推奨したのは、2番目の方向性:自宅用EV充電器のためのシェアリングサービス(いわばAirbnbのようなモデル)です。

自宅に充電環境を持つ人が、そうでない人に対して時間単位・回数単位で充電環境を提供できるようにする。新たな設備投資を最小限に抑えながら、充電の不便さを地域の中で分散し、コミュニティの力を活かす――そんな可能性が見えてきました。

この方向性に対して、私たちは6つの要件と4つの推奨を整理しました:

必須 プロダクト要件

  • 日常生活の中で自然に充電を統合できること
  • 充電機会への不安を軽減すること
  • 必要なときに充電できる道筋にアクセスできること
  • ユーザーのニーズに応じて充電できること
  • ローカルコミュニティとのつながりを促進すること
  • 充電の進捗と環境への貢献を示す視覚的な手がかりを提供すること

推奨 プロダクト要件

  • ユーザーのローカルアイデンティティを促進する
  • 経済的・環境的影響について明確で親しみやすい情報を提供する
  • 安心感を生む移動の道筋を設計する
  • 充電の進捗と環境貢献を視覚的に示す

人を定義するのは、表明された意見そのものではなく、その意見に至った思考のパターンだと私は考えています。

だから私がこの仕事で大事にしているのは、課題を固定せず、ユーザーがその課題をどう認識しているかを読み解くことです。表層的な要望を集めるのではなく、行動の背景にあるメンタルモデルを捉え、それをチームが判断に使える材料へ変換する。

このプロジェクトでも、そうでした。「充電が不便」という言葉の裏には、負担の許容という境界線が見えた。「何が欲しいか」という問いの裏には、価値の判断基準が潜んでいた。

見えるものと、見えないもののあいだ。

この距離を読むことができれば、行動や感情をある程度予測できる。そこに、この仕事の意味があると思っています。